9月某日 鳥海山麓 キノコの季節到来

これは自慢ではないし、自慢にもならない話だが、私にはかれこれ40年以上のキノコ採り歴がある。
もちろん大ベテランの方々には笑われてしまうような年月なのだが、人生の5分の4以上自然と触れ合ってきたという意味においては、妙な自負となっている。
物心ついた時には親父に連れられて山へ入っていた。
鳥海山へナメコ、ムキタケなどを採りに連れていかれたものだ。
おそらくは今思えば鈴よりも役に立つ熊除けのためだったのだろう(爆)
その後免許を取ってからは自分一人で山へ入るようになった。
東京の大学へ進学したものの、就職も失敗しフテくされていた頃に、一人バイクでツーリング。
そこに神奈川丹沢の秋の山を見た。
少しだけ山中に入ってキノコを探してみた。
皆無だった。
秋田で慣れ親しんだキノコの姿は一本も見つけることができなかった。
「やっぱり都会の山だ。つまらん。山が小さいからだ。
そうだ。秋田へ帰ろう。
秀麗無比なる鳥海山があるではないか。
それに里山なら腐る程あるぞ。
家業でも手伝いながら、春には山菜、秋には山でキノコ採りで楽しく過ごすんだ!」
と正に自暴自棄。
そんなわけで、当時付き合っていた彼女は東京に置き去りにし(爆)、自分一人秋田へ帰ってしまった(核爆)
それからあらまし早30年。
未だにキノコへの熱は冷めやらないでいる。
その昔、ホームページを開設した当時に書いた文がある。
秋田のキノコについての考察だ。
参考までにリンクを貼っておく。
9月~10月ののキノコ達
これまで実に多くの種類のキノコを採り、そして元々食べるのは大嫌いであったが、食毒を確かめるために何度も実食を繰り返して来た。
おかげで採集のみならず、食す方もだいぶ好きになった。
そんな昨年、これまでに見たことのないキノコを採集し、何人かの専門家から参考意見を頂戴して食べて見たものがある。

結果的にこうして生きているわけだから問題なかったのだが、後日談として、このキノコは本当は相当やばい代物ということが判明(苦笑)
この形からしてかなり卑猥なのだが、その名も「タケリタケ」。
ナニが猛っている様子から命名されたことは一目瞭然。
山中にニョキッと立っている姿はなかなか面食らう。
思わず、負けた…orzと思うことすらある(爆)
このキノコは、他のキノコに「寄生」するという珍しい生態を持つ。
従って、寄生主がテングタケのような毒種の場合は、必然的に「ドクタケリタケ」になるだろう。
幸いにも私が昨年食べたこれらは、チチタケかイグチに寄生したものだったらしく、何のクセもなく美味しく頂けた。
しかし、今年もすでに数本発見しているが、自らの分身を頂くようで気が引けるし(笑)、また寄生主も気になることから採って食べる気にはならない。
そんなこんなで今年の山は随分と遅れが目立ち、まだ昨年のような大群落に出会っていない。
昨年なんと道端に生えていた「マイタケ」

今年は影も形もない。
同じく昨年は枯れたミズナラの木に大群生していたナラタケも…

今年はまばらにしか生えていない。
これでは昨年のように琴平様へ献上できないorz
それでも今年豊作だったキノコは…

12年前に犯罪者扱いされ、未だに判決が下りていない「スギヒラタケ」秋田弁の「スギワカイ、スギワケ」である。
今年も2004年当時のように、「早く、大量に、普段生えないような箇所」に生えていた。
だからと言って、今年は一度も中毒したというニュースは聞かない。
我が家でも何度も食べたし、お裾分けだってした。
みな自己責任で食べたが、誰一人当たったりしていない。
あの年だけがなぜか悪者扱いにされてしまった「スギワケ」。
今年はありすぎてほとんどスルーだった。

薄暗い杉林にパッと咲く「ハナビラタケ」
コリコリとした食感が絶品であった。

毎年必ず同じ場所に生えてくれる「ハタケシメジ」
どんな料理にも合うオールマイティキノコ。
そのうち栽培も完成してスーパーにも出てくるだろうが、どうやっても天然物には敵わないのがキノコの世界。

ちょっと群生した「ナラタケ」
この二日後、少し成長させてから採ろうと思って行ったら、見事にそのほとんどが黒く腐っていたorz
見事に計算違いだったわけだ。

「オオモミタケ」
このキノコも毎年同じ場所に生えてくる。
個体数もほぼ毎年同じである。
昨年初めて遭遇し、食べて見たものの、独特の米ぬか臭があり、どうも苦手だった。
今年は茹でこぼしてから冷水にさらしたところ、見事にその香りも消え、炒めたり煮たり焼いたりと、全て美味しく頂けた。
こうして収穫に幅が出て行くのである。
毎年決まったキノコだけ採るのも楽しみだろうが、新しいものがレパートリーに加わっていくことでさらに楽しみが広がるのはさらに楽しい。


写真のキノコ二本はその後実家と、FB友のK苗ちゃんへおすそ分け。
ちなみにこの「オオモミタケ」は、地方によっては「白松茸」と呼ばれる事もある。
事実本荘由利地区でもそう呼ぶ人がいるし、駅前市場ではなんとその名前で出品されてたりする。
ちなみに秋田県や岩手の一部ではこのキノコも白松茸、あるいはシロフ松茸と呼び珍重している。
リンク先の記事は10年ほど前に私が書いたものである。
さて暑い夏がいつのまにか終わり、気がつけばもう秋も終盤だ。
キノコもこれからが本番といった感じだが、やはり印象として今年はあまり出来が良くない。
夏場の小雨が影響しているような気がしてならない。
が、収穫量の少なさを天気の影響にこじつけているようでは私もまだまだであろう。
これから11月に向けて、ラストスパートの山に期待したいものである。
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